妄想のススメ:Inspired by 坂口安吾/堕落論

Posted on 11/20/2012

テレビ東京アナウンサー大江麻理子と結婚したい。するわ。三十路に入った、しがないイチテレビ視聴者男がそんな戯言を結構本気で言って、女子共にひかれる@飲み会。テレビを観ながら、大江さんて一歩下がって夫をたてることも出来そうだし、かといって芯の通った頑固な面も持つ魅力的な女性で・・・的な妄想をしているからそんな事をほざき出すわけで。

例えば、またこんなこと。宝くじを買い続ける。10年かけて延べ数百万円使い、いや、貯金だから。宝くじ貯金だから。そのうちすげー利息付いて戻ってくるから。当たったら・・・ゲヘゲヘ。

そんな妄想癖のある人間に対して、世間は軽蔑の眼差し、呆れ顔満開。「現実を見なさい」と繰り返す。なに、ちょっと待て。現実を見る? 妄想や空想をしないで、堅実に生きることは現実っつーことなわけか? 今の学生や若者は、海外に一歩も出たくないとか、安定した企業・職につきたい、よって公務員が人気に、とか言われているが、そんな若者や子供達に、夢を持てだとか言ってるうちは何も変わらないと思う。大人よ、そんな大層なことをほざくではない。「少年よ、大志を抱け」なんつって仰々しい格言を押し付けられりゃー構えてしまって、引いてしまうでしょう。今の自分がその夢に向かって奮励努力できていない事実とか、身の丈に合わない志を胸張って言えない小っ恥ずかしさを誘発し、想像力を欠如させるわけで。どうせおりゃーそんなことできやしねんだべよ、なんつって。結局、電車乗って学校やら会社やらほけほけーっと行って、気がつきゃ携帯の中で何の実態もないポイントだかコインだか貯め込んでみたり、ドットでできた文字情報によるぺらぺらのコミュニケーションを求めていいね!いいね!なう。なう。フォロー。コメント。ネットサーフィングで時間の波にさらわれて、いつの間にか床に行き着き空虚な疲れで一日の終わりを実感しようと躍起になり。こんなのよっぽど現実味がない。生きる現実味がない。そんな毎日過ごすぐらいなら脳味噌が爆発するぐらいの妄想きめこんでトリップしてたほうが、いいんだ。自分の欲望とか慢心とか悲哀とか恥とか怒りに向き合った妄想が、こそが、よっぽど現実。

今、この妄想こそが欠乏しているのである。現実をはき違えるな。現実の幅を狭めるな。自らの内にあるドス黒い醜悪から真っ白な純真まで、全ての感情が現実なんだ。そしてそれを吐き気がするほどこねくり回して妄想するのである。欲望むきだしで。悲しみ。怒り。憎しみ。信じて。そうして感情の感度を上げることで想像力が生まれるのだ。その想像力は現実を広げる。そして、澄み渡った視界の先に夢や大志がひょっこりするかもしれない。妄想は、創造である。

つまりは、こういうことだ。大江麻理子との結婚を妄想し続ければ、愛と勇気だけが友達さ〜。「モヤモヤさまぁ〜ず」が自分の住む街にやってきた!なんて時に、大江麻理子を目の前にして一点の迷いもなく「結婚してください」とプロポーズができるのだ。妄想してなければ、ひゃぁー大江さんやー、遠くで顔を赤らめておしまい。妄想は、行動を生む。行動は現実を創るのだ。



最後に、「坂口安吾/堕落論」より。


一体、人々は、「空想」という文字を、「現実」に対立させて考えるのが間違いの元である。私達人間は、人生五十年として、そのうちの五年分くらいは空想に費やしているものだ。人間自身の存在が「現実」であるならば、現に其の人間によって生み出される空想が、単に、形がないからと言って、なんで「現実」でないことがある。実物を掴まなければ承知出来ないと言うのか。掴むことが出来ないから空想が空想として、これほども現実的であるというのだ。大体人間というものは、空想と実際との食い違いのなかに気息奄々として(拙者なぞは白熱的に熱狂して―――)暮らすところの儚ない生物にすぎないものだ。この大いなる矛盾のおかげで、この箆棒(べらぼう)な儚なさのおかげで、兎も角も豚でなく、蟻でなく、幸いにして人である、と言うようなものである、人間というものは。


単に「形が無い」ということだけで、現実と非現実とが区別せられて堪まろうものではないのだ。「感じる」ということ、感じられる世界の実在すること、そして、感じられる世界が私達にとってこれ程も強い現実であること、此処に実感を持つことの出来ない人々は、芸術のスペシアリテ(スペシャリティ=専門性)の中へ大胆な足を踏み入れてはならない。

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