邦洋集合:向井秀徳

Posted on 08/02/2012

Number Girl / NUM-HEAVYMETALIC

「神様仏様、一生のお願い」子供の頃、誰もが口にしたことのある祈りではないだろうか。日本に土着していた神道と、大陸から伝来した仏教が融合した、神仏習合の典型的な現れだ。

音楽にも同じことが言え、現代、チャートを賑わせるポピュラーな日本の音楽は、ほとんどが外来種との掛け合わせである。ただ、先日音楽的断層: SEEDA&VERBALで言及した通り、日本では海外から取り入れた文化の根底や核を届けられていない現状が見受けられる。Hip Hopが例に挙げられたわけだが、要は海外で生まれた音楽ジャンルやスタイルを表面的に取り入れているだけで、本質を伝えようとしていないってことだ。また、届け手の問題のみならず、本質を剥き出しにした「個」の強いモノが社会に蔓延ることを、強調という和の精神を持つ日本社会が許容しないのかもしれない。表面的に真似ごとをした中身のない代物を生み出すのは、本質を伝えられない届け手だけでなく、本質を理解しようとしたり受け止めようとしない受け手にも要因があるのだろう。結果、チャートに並ぶ音楽の中身は、横並びの「J-POP」としてしか存在し得なくなる。

ここで向井秀徳というアーティストを挙げてみる。彼が2002年まで率いたバンド、NUMBER GIRLでは、Television、Husker Du、Sonic YouthやPixiesといった、80年代~90年代前半アメリカのポスト・パンク~オルタナティヴ・ロック周辺の影響を多大に受けたサウンドを展開していた。サウンド面ではパクりだと、アンチからよく指摘されたものだ。ただ、ラスト・アルバム『NUM-HEAVYMETALIC』では、祭囃子を取り入れたり民謡とダブを融合したりして、他にはないおどろおどろしいロック・サウンドを創造した。また、ヒップホップ・クラシックとして知られるNASの『Illmatic』から影響を受け、念仏ラップとも呼ばれた独自なスタイルを編み出す。そのラップにのせたリリックも、非常に独特な日本語達だ。つまり、自分の好きだった洋楽的表現からシフトし始め、多種多様な影響を吸収した「向井秀徳であること」を軸として、唯一無二の音楽を創り出し始めたのだ。それはNUMBER GIRL解散後、「法被を着たレッド・ツェッペリン」というコンセプトで彼が始めたZAZEN BOYSにも、繋がっていく。

日本が他所のモノを取り入れることに長けているのであれば、それでいい。それがミクスチャー文化と呼べる日本の特徴でもある。ただ、まずは他所の音楽であることを自覚し、その本質を掴むこと。いろいろな音楽を取り入れるのであれば、それを解釈し融合する自分自身を核に据え、独自の新しい音楽へと昇華すること。そして、これらを体現する日本の音楽を聴くこと。それこそがメイド・イン・ジャパンの「ミクスチャー文化」を誇り高く輝かせるのだ。

Amazon : Number Girl / NUM-HEAVYMETALIC

Be the first to leave a comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>